読書と競馬

競馬は文学である

2016 ユニヴァーサル野球協会、の読書中のメモ

 ユニヴァーサル野球協会(ロバート・クーヴァー)、これは白水uブックスで、サイズとしては新書。なんだ370ページ少々かと舐めていたら、文庫本より縦に長いわけで、こりゃ結構な長篇だったのだな、と読書中ながら痛感している。

 それでねえ、これを日本語訳している人(あえて名前は書かない)が、私が佳作受賞して10万円もらった賞の選考委員先生の一人で、どうもあまり好意的に解釈してくれなかったみたいで、まあ書いたのが同性愛小説だから、女性の方の選考委員先生が強力にプッシュされて佳作をとれたみたいな話で、正直、この訳している人は……。

 

 それはさておきだね。

 

 今の所言えるところだけ。思った事を忘れないように。

 ユニヴァーサル野球協会という、架空、いや批評しやすいように書くと虚構の野球リーグを作ったヘンリー。サイコロ等々、より複雑化したお手製野球ゲームで、本当にまあ凝りに凝ったゲームに熱中する会社員の話。

 この虚構の野球リーグは、ただ単に野球の試合するだけじゃない。ヘンリーの、現実の方にもこの虚構が浸食し始めている。OBや現監督などが野球スタジアムの外にまで出かけて色々喋ったりする。その度合が増していく。〈現実〉―〈虚構〉、〈リアル〉―〈フィクション〉、その境界があやふやになっている。そしてそれはどんどん拡大していく。

 こんな風に書くと、ああ、ポストモダンだねえ、って思うでしょう? 実際、そのカテゴリ分けでいいんだけど。でもこの手の設定、いっぱいある。私がフッと思い浮かんだのがフランス作家のJ・ヴォートラン「グルーム」。これも架空の、虚構のホテルに勤めているフリが、徐々に暴かれていくみたいな話で。まあ、このクーヴァ―が書いたのが1968年だから、元ネタはこのユニヴァーサル野球協会だろう。

 で、この手の設定いっぱいあるよね、と言ったようにいっぱいある。もう2016年なんだし。ほぼ半世紀前の小説。ここでクーヴァ―の何が優れているかというと、虚構の世界たるユニヴァーサル野球協会とその周辺、人物達を可能な限り、リアリスティックに感じられるよう、描写が徹底している。ここが大事だ、こんな設定、文学好きな人間だったら一度は頭に思い浮かべた事があるだろう。しかし脳みその中で夢想するのと、実際に文字としてタイピングし、生きた世界を描く、細部まで徹底して、その姿勢と努力、技術は全然違うのだ。これが凄い説得力を出している。この虚構世界のユニヴァーサル野球協会の役員さん? 的な人たちや、まあナベツネみたいなもんか、そういう協会長選挙みたいなものも挟んできたりして、そんな描写が案外長く続くものだから、これはこれで一つの小説にできるじゃん、っていうくらい描写力が凄い。

 メタファーをやるなら、虚構の世界を描くなら、設定だけでなく、その設定を書き記すためのバカみたいに微に入り細に入り直接描写で描いてしまうと、しかもそのパワーが続くと、もはや言辞としてのメタファーを超えることができてしまっている。

 ややこしい話を続けたが、要はただの脳内ゲームのくせしてリアルすぎてスゲーという話。明日には読み終えるかな。

 

 ブックオフオンラインとAmazonで、文庫本等を大量補充。まだ宅配がとどいていないが、ブックオフオンラインで67冊、Amazonで5,6冊だったかな、70冊を超えるものを買ってしまった。なるべく安く済ますためにAmazonでも古本にあたった。で、70冊買って何とか2万5000円前後に収めることができた。

 特に堀江敏幸青山七恵、まあ花村萬月とかも買ったんだけど、ほら、雰囲気純文学っていうか、なんかゆるゆるした世界、日常を淡い水彩画のように描いて、心の機微の方を大事にしている、的な奴が流行ったのが00年代。堀江敏幸青山七恵もその世代、吉田修一はほとんど読んでいるが、一冊買った。長嶋有はあまりの金額と冊数の多さに、カートの外に出して保存としたが夕子ちゃんの近道やねたあとに、くらいまで全部買って読んでいる。同じく吉田修一もきちんと買っていて読んでいる。だからこの文學界組はええか、となって。絲山秋子の読んでないものは補充した。

 金は用意してあるのでそっちに心配ないがブックオフオンラインの宅配が67冊なんだが、どんな感じで来るんだろうか、と少しワクワクしている。今までは封筒のような色をした紙で包んできた(だいたい30冊くらい注文していて)。今回はその倍の約70冊なんでさすがにダンボールで来るんかな。ワクワク、ワクワク。