2016 吉行淳之介「星と月は天の穴」読了、次は絲山秋子「ラジ&ピース」

 例によって(ry、星と月は天の穴

 

久しぶりに吉行を読んだ。ポストコロニアリズム批評が日本近代文学差別意識を暴いたように、吉行の作物もフェミニズム批評でやられたら滅多刺しにされるのではと少し心配した。吉行の文章はすっきりしている。無駄口を叩かない。情事の模様も行為を描くのだが、簡潔な文章の集まりで上品ささえ感じる。そこへ中々凝った設定が活かしてある、作中作、公園のイメージ、入れ歯など。芸術選奨受賞作も納得である。クローズアップされた入れ歯は作中に言及あるがもっと解釈を拡げられる気がする。ただ隠れていただけでない、入れ歯は偽の歯であるから。

 

 字数がかなりオーバーしたから削りまくったら上のような文章になった。つまり言いたいというか指摘したいのは、隠していた入れ歯はもちろん、これはもう作中でその意味合いに触れているし。そうじゃなくて隠していた入れ歯は、歯の偽物、模造物であるということだ。偽物をせっせと隠している……もしじっくり考える時間があるなら私ならここに焦点を合わせて論を書く。

 あと淳之介さんの偉い所は少々比喩がキザだが、セックスをきちんと書く事だ。これを、嫌がる人がいる。クソみたいな道徳観植え付けられて洗脳されたんだろうけど、私より年下にそんな人もいたから、これは日本国の問題だぞ。結婚したら3人以上産まないと人口増えないんだから、違ってる? 適当に言っているが。それがなーんでセックス描写を嫌うのか意味がわからん。カマトトぶちやがって。と、いうか物書きの人達で、このセックスをさっと一文で終わらせて次に行っちゃう人も多い。その場合、別段、性描写が不要である全体像を持っているならまあ無駄な所は切るべきだがら、ああそうですか、と言うが、書かなきゃダメでしょという小説でさえ書いていなかったりすると何で? って単純に思う。字数も枚数も稼げるのに。

 

 次は絲山秋子、ラジ&ピース。群馬が舞台だってさ。絲山秋子は少し前から群馬に腰を下ろしているがなんでだろうね。冬はクソ寒いし上州名物の赤城おろしのからっ風があるし、夏は埼玉県の熊谷とともに群馬県館林市で記録的な温度が出てくる、謂わば内陸特有の暑い地域で、住んでいる私とすれば一刻も早く脱出したいのだが。何が良いのだろうな、NHKからテレ東まで写る関東圏だから東京に行ったり来たりしやすいくらいしか利点がない気が。寝る。