2016 「熊を放つ」ジョン・アーヴィング、邦訳村上春樹(中公文庫版)読書中のメモ

 久しく他人から「ありがとう」と生の声で言われていないので「ありがとう」井上陽水奥田民生デュエットを聞きまくっている。

 

 以下にニコニコ動画を貼り付け。「ありがとう」単曲は歌ってみた系を排除するとなかったので。ベストアルバムの一枚目丸ごとの方は残っているというのが不思議だが。1曲目「少年時代」の次、2曲目が「ありがとう」。


 「熊を放つ」の主な登場人物、グラフ(語り手)、ジギー、ガレン。
 この「熊を放つ」、ジョン・アーヴィングの処女作で、訳者も村上春樹だからもうこの二つの名前だけで10万部くらい売れたんだろと思ったがそうでもないらしい。というかむしろ不人気なのか、売れた気配がない。本作は確かに硬くてしゃちほこばっている感じがする。
 それもそのはずだと、調べてわかった。文庫で上下巻に別れる800Pの作品だが、これアイオワ大学大学院の修士号請求論文扱いの小説とのこと。対象がマスターの学位だったらそりゃ硬くなるだろうと思った。
 でも悪くない内容だし、むしろ面白くなってきた。第一章を読んで、今、第二章の途中。下巻は第三章から。第一章ではケルアックの「路上」か、それとも「イージーライダー」か? という、ヒッピームーブメント時代らしい(1967年の作物)、オートバイの男二人旅だ。
 が、やっている場所がある意味面白くて、オーストリアのウィーンから出発してイタリアに行こうとしている。確かにビートルズの後期はインドに行ったりとか、あからさまなジョン・レノンの東洋への憧れなど、イギリスなどの英語圏でヒッピー文化が伝わったのは知っているけど、大陸側にも普及していたのかな。日本でもフーテンがいたくらいだからあったか。
 しかしなんでまたオーストリアなのかと思っていたが(アーヴィングが留学して得た知識を使っているとのこと)その後、ナチス政権下のドイツとオーストリアがかなりの比重を占めてくるものだとわかり始めると、なるほどね、という感じ。
 第二章はジギーの残した動物園襲撃計画と、第二次大戦直前のジギーの母についてもの。それのシーソー形式。Aを書いたらBに移って、またAに戻ってBに……と交互に繰り返す。こういった手法は珍しいわけではない。構成を複雑にしたのは、恐らくは読み進めていくと、AとBが共鳴しあって効果を発揮するような仕掛けなんだろう。発揮しないなら一気に駄作になるけど。

 

 で、ここでシクッたなあ、と思ったのが、第一次大戦後から第二次大戦へ向かう途中、及び大戦勃発後の動きが全くわからない。つまりヨーロッパ戦線の知識が私の頭の中から吹っ飛んでいる。

 

 私大文系に絞った場合、国語と英語は必須だが、もう一つの科目は地歴社会系のどれでもよいという事になっている。ちなみに数学や物理なども大学によっては可だ。
 ここで私は日本史を選んだ。高校生の時に司馬遼太郎にハマっていたから、というだけでなく、カタカナの長い名前を覚えるよりは母国でありかつ漢字の日本史の方がやりやすかった。大学受験当時に、のちのちの知識のためにと、科目を選択するなんて考えはなくて当たり前でしょう。実際、高校の範囲(大学受験の範囲)の日本史は完璧になって、得点源になった。
 対して世界史はちょろっとしかやってない。ナチスドイツの知識だって偏っている。
 意外とナチスドイツの事を知らない自分に気付く。ベルリンオリンピックや、アウシュビッツや、優生学やら、ノルマンディー上陸作戦やら、そういう断片の知識はあると思うのだけど、総合して、どのようにナチが民主主義のドイツで台頭し、その後ヨーロッパ戦線を戦ったか、事細かに知っている人は、なかなかいないんじゃないか。
 あるいはただ単に私がバカなだけという可能性ももちろん大いにありうる。何にせよ、一度、20世紀のヨーロッパを学べる単行本か、学術文庫ないしは学芸文庫を読まなきゃいけないと思っている。

 

 上下巻なのでゆっくり読むが、少し読書を箸休めにすると、途端に凱旋門賞の予想に頭が飛ぶ。スプリンターズSがどうでもよくなっている。

 ビッグアーサーで決まりでしょ。夏を使ってきて、そんでもって重賞やオープン特別で好結果を出している馬こそ要注意。ミッキーアイルなどの鉄砲で出走してきた場合はまた別だが、秋に向けて一叩きした馬たちの方が良いに決まっている。そろそろ休養に入るべき夏馬達は疲れてきているから夏の重賞勝ち馬なのにあっれえ? ってな凡走をしてもおかしくない。


 それと、眼精疲労はだいぶ穏やかになってきた。効いたのがホットタオルなのか市販目薬なのかわからないがともかく良かった良かった。

 今週から火野正平の日本縦断こころ旅も始まったしいやはや良い季節になってきた。