2019 『蛇にピアス』 金原ひとみ (集英社文庫) 再読後の感想

蛇にピアス (集英社文庫) 作者: 金原ひとみ 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2006/06/28 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 32回 この商品を含むブログ (123件) を見る 戦後の文学の新陳代謝の仕方は石原慎太郎の芥川賞受賞が決定づけた。既存の価値観と…

2019 『芋粥』における〈五位〉の真に望んだ〈生〉の形について――芥川独創の挿話から読む

羅生門・鼻 (新潮文庫) 作者: 芥川龍之介 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2005/10 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 38回 この商品を含むブログ (91件) を見る ※この論考は上にリンクを貼った『羅生門・鼻』(新潮文庫)所収の『芋粥』のみを論じたもの…

2019 予想+データ分析 第69回キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(英GI)

キングジョージはイギリスダービー、凱旋門賞と合わせて欧州三大レースと呼称される事もある、まさに夏のビッグレース。舞台は英国アスコット芝11ハロン211ヤード、約2400m。本当に、あのキングジョージの馬券が日本で買えるなんて夢のような話だ。 さて、頭…

2019 『主題歌』 柴崎友香 (講談社文庫) 感想

主題歌 (講談社文庫) 作者: 柴崎友香 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2011/03/15 メディア: 文庫 クリック: 5回 この商品を含むブログ (7件) を見る 表題作は2007年度上半期芥川賞候補作。その他、短篇の『六十の半分』『ブルー、イエロー、オレンジ、オレ…

2019 『軽薄』 金原ひとみ (新潮文庫) 感想

軽薄 (新潮文庫) 作者: 金原ひとみ 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/08/29 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る 金原ひとみは私の好きな作家の一人だ。好きだと言っておきながら単行本で買わずに文庫化するまで待つのだが、とりあえず今…

2019 予想 農林水産大臣賞典 第21回ジャパンダートダービー(Jpn1)(交流重賞)

全国三歳ダート王決定戦であるジャパンダートダービーを予想する。舞台は大井競馬場2000m。発走は7月10日(水曜)、ナイターの20:05。 ジャパンダートダービーは中波乱はときおりあるが大荒れはほぼ起こらないので、点数を絞るか、1点1点の賭金の強弱を調整…

2019 『青が破れる』 町屋良平 (河出書房新社) 感想

青が破れる 著者 : 町屋良平 河出書房新社 発売日 : 2016-11-11 ブクログでレビューを見る» 2016年度文藝賞受賞作。2016年度三島由紀夫賞候補作。単行本化に際して、表題作の他に『脱皮ボーイ』『読書』の小品二篇を併録。 町屋良平の名は、いわゆる純文学五…

2019 『小説のナラトロジー ―主題と変奏 (SEKAISHISO SEMINAR)』 (世界思想社) 感想

小説のナラトロジー―主題と変奏 (SEKAISHISO SEMINAR) 著者 : 世界思想社 発売日 : 2003-01 ブクログでレビューを見る» 一般に『ナラトロジー(narratology)』は日本では『物語論』という名称で紹介された文学理論の一つであるが、字面からストーリー論のよ…

2019 予想 第21回東京ジャンプステークス(J・GIII)+ちょっとだけデータ分析

春の東京開催、最後の重賞である荒れるレース、東京ジャンプステークスを予想する。 舞台は東京障害コースの直線が芝の3110メートルで、最後の直線には9号障害(最終の障害)が設置されてはいるものの、463メートルあるので他の競馬場の障害コースに比べて断…

2019 予想 第24回ユニコーンステークス(GIII)

東京競馬場ダート1600mで行われる三歳限定牡牝混合のユニコーンステークスを予想する。 土日の天気がたいへん怪しく、特に土曜は雨となるだろうが日曜には回復するらしいのでそこまで気にしなくてもいいかな、と。 雨よりも展開とペースの方が気になる。芝馬…

2019 予想 第151回ベルモントステークス(米GI)

日本馬マスターフェンサーの参戦によって、二年ぶりに日本国内でも馬券が発売されるアメリカ競馬三冠の最終レース、ベルモントステークスを予想する。 実は当ブログで二年前の2017年、エピカリスが出走(取消はしたが馬券は発売)した際に、データ分析を行っ…

2019 『死んでいない者』 滝口悠生 (文藝春秋) 感想

死んでいない者 著者 : 滝口悠生 文藝春秋 発売日 : 2016-01-28 ブクログでレビューを見る» 2015年度下半期芥川賞受賞作。 滝口悠生は大雑把に言えば2010年代に擡頭してきた〈語り〉の技巧に意識的な作家群の一人として括ることができる存在であって、本作も…

2019 予想 第68回川崎記念(Jpn1) (交流重賞)

年始のダート最強馬決定戦、およびフェブラリーステークス、ドバイの前哨戦とも機能する川崎記念(川崎競馬2100m、Jpn1、1/30 16:10発走)を予想する。 かなり固い交流重賞で、1番人気の複勝率は過去10年で100%、1,2,3番人気で決まる年もしばしばである。高…

2019 予想 第22回TCK女王盃(JpnIII) ※牝馬限定交流重賞

2019年、1月23日(水曜16:10発走)大井競馬場、ダート1800mで行われる牝馬限定の地方・中央交流重賞のTCK女王盃を予想する。 ここ最近忙しくて予想の記事を書けていなかったけれども、書いていないだけでガッツリ競馬はやっています。 さて、大井というと直…

2018 『鳥の会議』 山下澄人 (河出文庫) 感想

鳥の会議 (河出文庫 や) 著者 : 山下澄人 河出書房新社 発売日 : 2017-03-17 ブクログでレビューを見る» 収録作『鳥の会議』(初出「文藝」2015年春号、2016年度三島由紀夫賞候補作)『鳥のらくご』(初出「文藝」2015年秋号)『鳥の会議』 起伏あるわかりや…

2018 『寝ても覚めても』 柴崎友香 (河出文庫) 感想

寝ても覚めても (河出文庫) 著者 : 柴崎友香 河出書房新社 発売日 : 2014-05-08 ブクログでレビューを見る» 2010年度野間文芸新人賞受賞作。今年の2018年に濱口竜介監督作品として映画化されており、評価されているとの由。ただ私は今の所は映画は観ていない…

2018 『明るい夜』 黒川創 (文春文庫) 感想

明るい夜 (文春文庫) 著者 : 黒川創 文藝春秋 発売日 : 2008-10-10 ブクログでレビューを見る» 2005年度三島由紀夫賞候補作。文庫になってのちの2009年、京都の書店員で決める京都水無月大賞を受賞。 後者の方は聞き覚えのない賞だが京都の書店員が投票で決…

2018 予想 第20回 京都ジャンプステークス(J・GIII)

京都障害コースは完全に前有利。最後の直線も非常に短く、テンから前に行った馬が有利となる。スタミナもさることながら飛越の能力も必要になってくる、というか障害レース全般に言えることだが落馬せずに完走できる馬を選ばなくてはいけない。当たり前の話…

2018 予想 第23回東京中日スポーツ杯武蔵野ステークス(GIII)

チャンピオンズカップのステップレース、東京ダートマイルの重賞、武蔵野ステークスを予想する。ダート戦の定石としては先行有利となるのだが、ダートでも直線が長い府中で、しかもクラスが重賞ともなるとそうは言ってられない。強い先行馬には何かしらの印…

2018 予想 第20回東京ハイジャンプ(J・GII)

日曜、東京9レース目にて施行される障害重賞、東京ハイジャンプを予想する。 障害レースの一般論として先行有利というものがあって、それは府中であってもそうなのだが、東京ハイジャンプに限っては実力馬が集まる関係からか、意外と差しが届く。といって差…

2018 予想 第66回アイルランドトロフィー府中牝馬ステークス(GII)

土曜の東京メイン、府中牝馬ステークスを予想する。もともとエリ女杯のステップレースのようなものだったが、2014年より本レース1着馬にエリ女杯優先出走権が与えられることとなった。 東京1800は一般的に前有利と言われるし、開幕してまだ二週目でもあるし…

2018 予想 第4回サウジアラビアロイヤルカップ(GIII)

いよいよ秋の府中開催がスタート。先陣を切る重賞、2歳府中マイルGIIIのサウジアラビアロイヤルカップを予想する。かつて2歳OP特別のいちょうSとして施行されていたが2014年に重賞格上げ、2015年に現在の名称へ変更という経緯を持つ。 さて、天候やそれにと…

2018 『また会う日まで』柴崎友香(河出文庫) 感想

また会う日まで (河出文庫) 著者 : 柴崎友香 河出書房新社 発売日 : 2010-10-05 ブクログでレビューを見る» 2006年度三島由紀夫賞候補作。 生まれ育った大阪に住み続け会社員をしている二十代後半の仁藤有麻(読みはユマ)が主人公。今は東京に上京している…

2018 『私の恋人』 上田岳弘(新潮社) 感想

私の恋人 著者 : 上田岳弘 新潮社 発売日 : 2015-06-30 ブクログでレビューを見る» 2015年度三島由紀夫賞受賞作。あの又吉直樹の『火花』と決選投票の末、これを退けて受賞した。 エピグラフには『宇宙戦争』(著H・G・ウェルズ)からの引用がなされているよう…

2018 予想 第20回阪神ジャンプステークス(J・GIII)

障害レース戦線も秋を迎えて、暮れの大一番である中山大障害にむけて動き始めるのだが、先陣を切るのは阪神障害コース3140mで施行される阪神ジャンプステークスである。 コース傾向としてはとにかく前有利で、それぞれ位置取りが決まって縦長になった時に、7…

2018 予想 第3回紫苑ステークス(GIII)(秋華賞トライアル)

秋競馬の始まりを告げる重賞、かつてオープン特別だったがGIIIに格上げされて今年で3年目の3歳牝馬限定中山2000m、紫苑ステークス(秋華賞トライアル)を予想する。 予想する上で注意したいのは、まず開幕週であること。芝の状態は良い、天気の影響もさほど…

2018 『ギッちょん』山下澄人(文春文庫) 感想

ギッちょん (文春文庫) 著者 : 山下澄人 文藝春秋 発売日 : 2017-04-07 ブクログでレビューを見る» 収録作『ギッちょん』(初出「文學界」2012年6月号、12年度上半期芥川賞候補作)『水の音しかしない』(初出「文學界」2011年12月号)『トゥンブクトゥ』(…

2018 予想 ジャック・ル・マロワ賞(仏GI)+過去10年前走データ分析(発走08/12 午後11:20)

歴史あるフランスのマイルGI、ジャック・ル・マロワ賞(Prix Jacques le Marois) を予想する。 日本馬のジェニアルは直前に回避となって残念だが、ジェニアルの挑戦があったからこそ、フランス最高峰のマイルGIが日本で買える。コースはドーヴィル競馬場で芝1…

2018 予想 第20回小倉サマージャンプ(J・GIII) 7/28(土)第8レース

夏の小倉競馬開催における最初の重賞、小倉サマージャンプを予想する。小倉の障害コースについては、特筆すべき点はあまりない。先行馬が有利だが、それはどこの障害コースでも同じだ。といって、後方勢が全部ダメかというとそうではなくて、これは平地を含…

2018 『爪と目』藤野可織(新潮文庫) 感想

爪と目 (新潮文庫) 著者 : 藤野可織 新潮社 発売日 : 2015-12-23 ブクログでレビューを見る» 2013年度上半期芥川賞受賞作。 ホラー小説であると思うし、またミステリー小説でもあると思う。終始、醸し出される不穏で奇妙な雰囲気は何なのか。本作の謎に迫る…