読書感想文、または批評

2019 『軽薄』 金原ひとみ (新潮文庫) 感想

軽薄 (新潮文庫) 作者: 金原ひとみ 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/08/29 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る 金原ひとみは私の好きな作家の一人だ。好きだと言っておきながら単行本で買わずに文庫化するまで待つのだが、とりあえず今…

2019 『青が破れる』 町屋良平 (河出書房新社) 感想

青が破れる 著者 : 町屋良平 河出書房新社 発売日 : 2016-11-11 ブクログでレビューを見る» 2016年度文藝賞受賞作。2016年度三島由紀夫賞候補作。単行本化に際して、表題作の他に『脱皮ボーイ』『読書』の小品二篇を併録。 町屋良平の名は、いわゆる純文学五…

2019 『小説のナラトロジー ―主題と変奏 (SEKAISHISO SEMINAR)』 (世界思想社) 感想

小説のナラトロジー―主題と変奏 (SEKAISHISO SEMINAR) 著者 : 世界思想社 発売日 : 2003-01 ブクログでレビューを見る» 一般に『ナラトロジー(narratology)』は日本では『物語論』という名称で紹介された文学理論の一つであるが、字面からストーリー論のよ…

2019 『死んでいない者』 滝口悠生 (文藝春秋) 感想

死んでいない者 著者 : 滝口悠生 文藝春秋 発売日 : 2016-01-28 ブクログでレビューを見る» 2015年度下半期芥川賞受賞作。 滝口悠生は大雑把に言えば2010年代に擡頭してきた〈語り〉の技巧に意識的な作家群の一人として括ることができる存在であって、本作も…

2018 『鳥の会議』 山下澄人 (河出文庫) 感想

鳥の会議 (河出文庫 や) 著者 : 山下澄人 河出書房新社 発売日 : 2017-03-17 ブクログでレビューを見る» 収録作『鳥の会議』(初出「文藝」2015年春号、2016年度三島由紀夫賞候補作)『鳥のらくご』(初出「文藝」2015年秋号)『鳥の会議』 起伏あるわかりや…

2018 『寝ても覚めても』 柴崎友香 (河出文庫) 感想

寝ても覚めても (河出文庫) 著者 : 柴崎友香 河出書房新社 発売日 : 2014-05-08 ブクログでレビューを見る» 2010年度野間文芸新人賞受賞作。今年の2018年に濱口竜介監督作品として映画化されており、評価されているとの由。ただ私は今の所は映画は観ていない…

2018 舟橋聖一顕彰青年文学賞・佳作受賞の報告

毎日新聞さん、朝日新聞さん、中日新聞さん等々で既に報道されているのでもう書いても大丈夫ですね。 この度、第30回舟橋聖一顕彰青年文学賞・佳作を『母捨て』で受賞しました。賞金は10万円です。この公募の青年文学賞は年齢制限があって、応募資格があるの…

2018 『明るい夜』 黒川創 (文春文庫) 感想

明るい夜 (文春文庫) 著者 : 黒川創 文藝春秋 発売日 : 2008-10-10 ブクログでレビューを見る» 2005年度三島由紀夫賞候補作。文庫になってのちの2009年、京都の書店員で決める京都水無月大賞を受賞。 後者の方は聞き覚えのない賞だが京都の書店員が投票で決…

2018 『また会う日まで』柴崎友香(河出文庫) 感想

また会う日まで (河出文庫) 著者 : 柴崎友香 河出書房新社 発売日 : 2010-10-05 ブクログでレビューを見る» 2006年度三島由紀夫賞候補作。 生まれ育った大阪に住み続け会社員をしている二十代後半の仁藤有麻(読みはユマ)が主人公。今は東京に上京している…

2018 『私の恋人』 上田岳弘(新潮社) 感想

私の恋人 著者 : 上田岳弘 新潮社 発売日 : 2015-06-30 ブクログでレビューを見る» 2015年度三島由紀夫賞受賞作。あの又吉直樹の『火花』と決選投票の末、これを退けて受賞した。 エピグラフには『宇宙戦争』(著H・G・ウェルズ)からの引用がなされているよう…

2018 『ギッちょん』山下澄人(文春文庫) 感想

ギッちょん (文春文庫) 著者 : 山下澄人 文藝春秋 発売日 : 2017-04-07 ブクログでレビューを見る» 収録作『ギッちょん』(初出「文學界」2012年6月号、12年度上半期芥川賞候補作)『水の音しかしない』(初出「文學界」2011年12月号)『トゥンブクトゥ』(…

2018 『爪と目』藤野可織(新潮文庫) 感想

爪と目 (新潮文庫) 著者 : 藤野可織 新潮社 発売日 : 2015-12-23 ブクログでレビューを見る» 2013年度上半期芥川賞受賞作。 ホラー小説であると思うし、またミステリー小説でもあると思う。終始、醸し出される不穏で奇妙な雰囲気は何なのか。本作の謎に迫る…

2018 『九年前の祈り』 小野正嗣 (講談社文庫) 感想

九年前の祈り (講談社文庫) 著者 : 小野正嗣 講談社 発売日 : 2017-12-15 ブクログでレビューを見る» 2014年度下半期芥川賞受賞の表題作を起点とした連作短篇集。 小野正嗣はデビュー作から、故郷である大分県の、リアス式海岸にある過疎化が進む集落を小説…

2018 『極楽とんぼ 他一篇』里見弴(岩波文庫) 感想

極楽とんぼ―他一篇 (岩波文庫) 著者 : 里見トン 岩波書店 発売日 : 1993-12-16 ブクログでレビューを見る» 長篇『極楽とんぼ』(初出「中央公論」昭和36年1月号)、他に短篇『かね』(初出「改造」昭和12年1月号)を収録する。 里見弴――、寡聞にして実兄に有…

2018 『赤い高粱』莫言(岩波現代文庫) 感想

赤い高粱 (岩波現代文庫) 著者 : 莫言 岩波書店 発売日 : 2003-12-17 ブクログでレビューを見る» 中国現代文学を読むのは初めてのことだ。本作の作者である莫言の2012年ノーベル文学賞受賞がなければ、私の狭い視野に入ってこなかったかもしれない。 日本と…

2018 『新装版 海も暮れきる』吉村昭(講談社文庫) 感想

新装版 海も暮れきる (講談社文庫) 作者: 吉村昭 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2011/05/13 メディア: 文庫 クリック: 5回 この商品を含むブログ (5件) を見る 「咳をしてもひとり」の自由律俳句で有名な尾崎放哉が、小豆島に移住して病死するまでの八ヶ…

2017 昔書いた多分書評 ハリガネムシ(吉村萬壱)

データ整理で出てきた中でまだ読めるものをなるべくup 2011/08/20 ハリガネムシの、全体的の総括としては隙のない小説で完成度が非常に高い。文章文体にも特段文句を言えるものもなく、むしろ小説というものにこなれた様子すら伺え、近年の芥川賞受賞作品で…

2017 昔書いた読書感想文 Part2 犀星、柳田、ヘミングウェイ、中上

前記事の続き。青臭すぎるのは退けて、まだ読めるものを紹介。 「或る少女の死まで―他二篇 (岩波文庫)」 室生犀星 岩波書店 693 円 読了(2013-05-17) ☆☆☆★ たとえば犀星を専門にする人は、どのようなものであっても欠陥を認めつつも容赦をしたり擁護してしま…

2017 昔書いた読書感想文 谷崎・安岡・直哉・中上2つ・ヘッセ・藤村

データの整理をやっていたら4,5年前に書いた感想文が出てきたので、一部を紹介。中上の感想文だけ明らかに文字数が異常に多いのだが、昔からそれほど好きだったということでしょう。 「潤一郎ラビリンス〈13〉官能小説集 (中公文庫)」 谷崎 潤一郎 中央公論…

平成29年度 読書及び創作計画、の方向性 攻める読書

第一に優先する事柄は、物を書く事である。じゅうぶんに時間を設ける、準備するというのももちろん大事だしやっていく。それとは別に、今までの読書傾向を多少変化させていく必要を感じている。 ※これから書いていく事は、創作の刺激を得んがためのものであ…

2017 「ライ麦畑でつかまえて」(野崎版)の感想とスタイル

(1)感想など 読書メーターに書いたものだとこう。何というか255文字で感想書けと言われると無理な小説なので、こんな風にしてお茶を濁した。 実に11年ぶりの再読である。18歳の私は怒ったのだ。だってホールデン、君は私が言わずにおいた事をのべつ幕なしに…

2016 読書及び創作計画決定版-2017/03/31 お題機能に関して

課題図書 饒舌体のものとして 宇野浩二・蔵の中・子を貸し屋(岩波文庫)(絶版中?)・苦の世界(岩波文庫)・思い川・枯木のある風景・蔵の中(講談社文芸文庫) センチメンタルなユースフルデイズものとしてサリンジャー(フラニーとゾーイーは既読。ライ…

2016 「熊を放つ」ジョン・アーヴィング、邦訳村上春樹(中公文庫版)読書中のメモ

久しく他人から「ありがとう」と生の声で言われていないので「ありがとう」井上陽水・奥田民生デュエットを聞きまくっている。 以下にニコニコ動画を貼り付け。「ありがとう」単曲は歌ってみた系を排除するとなかったので。ベストアルバムの一枚目丸ごとの方…

2016 「夕べの雲」庄野潤三 読書中のメモ+神戸新聞杯、オールカマーの買い目

『夕べの雲』は新聞連載の連作短篇のていをとった実質の長編小説。読売文学賞受賞。 面白いかどうかというと微妙としか。いわゆる日常系のものである。明日の競馬が終わってから読めば終えるだろう、あと70Pほど。 内容はいわゆる日常系の筋のない小説である…

2016 「あかりの湖畔」青山七恵 読書中のメモ

メモっつったってそこまで何か凄いものがある小説なのかというとそうでもないんだけど、なんかな、政治的な記事をいつまでもトップに置いておくのは趣味じゃない。 で、主人公は灯子という。26歳。山の上の湖畔にある老舗の食堂(昔は民宿も兼ねた)で実質的…

2016 「関東軍」講談社学術文庫 読書中のメモ

恐らくは完璧に近い資料数を読みこなし、使い込んで書かれた綿密な歴史書にして、著者の方が文芸的感覚を持っているのか、単に史実を追うのではなく、なかなかドラマチックに作ってある。 ただやはり歴史書になると、時の政権や軍部の階級とか、まあ色々ある…

2016 なんで小説を書くのだろうか (雑感)

なんで小説を書くのだろうか、と今日、いや応募作を郵便局に持って行った帰り道(09/06)でも少し考えた。 こういう文章を書く場合は時系列的というか昔はこうで、今はこうなのよ、みたいに話を進めたほうが良いだろう。その方が私にとっても都合が良い。 高…

2016 「殉教」そろそろ読了 三島はもう古典だ

いや、まあ、題名の通り。土日なんで多くの時間と思索を競馬に奪われる毎週末であるからして読み終えるのは今日の夕刻になるだろうが、あと60ページほど。少々、計画は遅れる。 やはり第二次戦後派の三島由紀夫にとって、短篇という舞台はあっていないのでは…

2016 三島由紀夫「殉教」読書中

モノを書き始めるまでの資料的な選択として ・三島由紀夫「殉教」 ・稲垣足穂「A感覚とV感覚」 ・三浦しをん「月魚」 を積んであって、早急に読む必要がある。今、三島。 ちょっとチョイス失敗したかなと思うのは、三島の短篇集、詰め込みすぎでページ数多い…

2016 堀江敏幸「いつか王子駅で」読了 小説内の競馬描写について

いつの間にか競馬回顧サボっているけど今日もサボるよ、まあ、その、中京記念は小牧を軸にして万馬券をとった。なんだかんだで今年の万馬券には小牧がよく絡んでいた気がする。 それはさておき、私はもう、今すぐにでも書けるしもう書いちゃおうかとも思うの…