2016 「関東軍」講談社学術文庫 読書中のメモ
恐らくは完璧に近い資料数を読みこなし、使い込んで書かれた綿密な歴史書にして、著者の方が文芸的感覚を持っているのか、単に史実を追うのではなく、なかなかドラマチックに作ってある。
ただやはり歴史書になると、時の政権や軍部の階級とか、まあ色々あるわけで読みやすいとは決して言えない。今やっと半分は読んで満州事変の真っ最中。
読みやすいわけではない、と言ったのは特に、まあ、関東軍の設立前夜というか前日譚というか、そういう所がしょっぱなに来るので、ここらへんははっきり言ってつまらないと言っていいかな。しかしながらこの前提あってこその、その後の関東軍の面白さに繋がるわけで、もし他に読む人がいたら最初の方でやめないで読み進めて欲しい。
徐々に関東軍の性格が出てき始め、石原莞爾などが出てくるとこれがもう面白いのなんのって。なんかルパン三世読んでいるみたいな、スパイ映画見ているような、そんな陰謀策謀やりまくりで、特に私が今差し掛かっている所が満州事変だもんだから、これはすげえなって感じ。
で、きっと読書メーターに感想書く時に書かずにおくだろう事かも知れないからここに忘れないように書いておくと、特に特に若い世代ほど日本の近現代史を知らない。中学高校の歴史の教師がだいたい大正時代辺りで切り上げてしまうからだ。
恐らくはそこに、教師として政治的中立を保てない、どちらか(戦争批判あるいは戦争賛美)に転がる可能性大なので、まあ教師だって人間で公務員でサラリーもらって食っている日本人だから、そんな馘首されるかもしれないリスクは負いたくないのだろう。
近々、文科省が新たに科目数を増やし、日本の近現代史を専門に教える科目を作ったらしいのだが、つまるところ文科省が動くくらいのレベルで、日本国民は学校においてボロ負けした総力戦の戦争に、歴史としての事実に触れずに終えてしまうわけだ。
イデオロギー的に右でも左でもどっちをとるにしたって好きにすればいいと思うが、まず、根底にある知識数は最低限度持っていないと、正当な判断ができるはずがない。
実際、NHKの特別大河?? で、司馬遼太郎の「坂の上の雲」をやった。あれは日清日露戦争までしかやってない。そんでもって、これ大好評だったでしょう。私も凄く楽しかったし。でもね、忘れちゃいけないのは、規模は違うし民間人もほぼ入ってこないとはいえ、日清も日露も戦争なので兵隊はいっぱい死んでいるのよ。さきの太平洋戦争だけで判断してはいけない。良くも悪くも。
違いは、勝ち戦か負け戦か、というだけ。そして203高地をとるために無謀な突撃繰り返したりとか色々あったけど、勝ったから美談になってしまっているきらいがある。
維新が起こった時の言葉を思い出せば勝てば官軍負ければ賊軍ってやつで、賊扱いされてボロ負けした戦争なんてトラウマだし、もうしない、と思う気持ちもわかるけど。じゃあもし武力紛争が起きたとして、それが勝ち戦に終わったらどうだろう? みたいな事も考えてほしいなとは思う。
あれでしょ、これ以上やるとメンドーな人達が来るでしょ。
撤収!!
明日は意味のわからん紫苑S(GIII)があるけどさすがにやらない。なんで重賞にするかねって思ったわ。プリンシパルSもその内GIIIになるかもね。いやーしかし、ついに中山阪神開幕か。本当に夏って終わっちゃったんだね。暦上は。