2017 予想 第14回福島牝馬ステークス(GⅢ)+《穴馬データ分析》

 更新としては一ヶ月弱ぶりかな。桜花賞を現地観戦したり、気管支炎になったりと色々忙しかった。
 さて、第14回福島牝馬ステークスの予想へ。

 ヴィクトリアマイルのステップレースではあるが、東京京都開催の裏である福島の、しかも土曜の、さらに古馬牝馬GIIIということでメチャクチャ地味なんだけど、高配当が出やすいレースである。物に出来れば来週の春の天皇賞から始まる連続GIの資金作りができるかも。

 人気薄の激走が多いので《穴馬データ分析》をしてみた。ちょっと調べてみた程度だけどね。

 



福島牝馬S 穴馬(10番人気以下)分析 過去10年

 道中位置取り脚質戦績上の備考

 

2016
1着15番人気マコトブリジャール 逃げ2-2-2-2 OP特別で3着2回
3着13番人気オツウ 逃げ1-1-1-1 OP特別で3着、ターコイズS(G)で3着

 

2015
3着13番人気メイショウスザンナ 差し9-8-7-7 牝馬限定OP特別3着、フラワーC2着

 

2014
3着16番人気フィロパトール 逃げ2-2-2-2 福島芝(2-1-1-2)福島500万特別で2勝

 

2013
3着10番人気ピュアブリーゼ 逃げ3-3-2-2 優駿牝馬2着、フローラS3着

 

2012、2011、2010
9番人気以内で決着

 

2009
2着11番人気アルコセニョーラ 追い込み14-13-14-12 07年福島記念1着、他新潟記念1着など
3着13番人気ヤマニンメルベイユ 逃げ1-1-1-2 07年福島記念3着、福島牝馬S3着、他中山牝馬S1着クイーンS1着

 

2008、2007
9番人気以内で決着


 

 10番人気以下が激走した場合のみを抽出して調べてみた結果、上記の通りとなった。
 注目すべきは、やはり小回りコースなので逃げ(ハナか、2,3番手)が残る。
 で、じゃあなんでこいつら逃げ残ったかの根拠が欲しかったのでそれも調べると、レースの格で言う所のオープン以上(オープン特別、重賞)で2回以上馬券内がある事、福島芝の実績がある事、などとなる。


 箇条書きでまとめると

(1)オープン以上のレース

(2)福島芝コース

 (1)or(2)のどちらかの条件で複数回馬券内になった、という共通項が浮かび上がった。

 

 ここに脚質などを加味して考えると良いと思う。それと、この(1)あるいは(2)というのは、その馬の全成績を見た上で分析した結果、出てきた条件である。これらが人気薄の激走になるのは、近走が不振であるために軽視されているが実力は持っていた、という穴馬の一般的なパターンに収斂できる。

 

 流石に過去10年3着以内馬30頭を調べ上げるのはダルかったので10番人気以下の激走に的を絞ったが、これらの条件は人気上位が想定される馬にもそれなりに当てはまるだろう気がする。
 なので、これを予想全体のファクターとして流用してしまおう!
 
 実は過去10年の内、5回、10番人気以下が絡まなかった。が、上位人気馬が消えていた等で中穴が3着内独占でやっぱり荒れているというケースもあった。ということで軸は決めず、ボックスで。3連複7頭ボックスで35点。

 


※ボックスで買うので印はなし
・5ウインファビラス
 阪神JF(GI)で2着。17年ニューイヤーS(OP)で3着。前走東風Sでは2番手の競馬。引き続き先行してくれれば。

 

・6ウキヨノカゼ
 短距離馬のイメージが強いが、マイルのフェアリーS2着、クイーンCで1着。他に何と言っても15年スプリンターズSで3着がある。初の1800だった前走中山牝馬Sではタイム差0.2秒の6着。マクル競馬ができれば上がり最速も活きてくる。

 

・8フロンテアクイーン
 クイーンC2着、紫苑S(GIII)3着。脚質や実績にさほど特筆すべき点はないが、上記の条件は満たしている。

 

・9クインズミラーグロ
 近2走だけで買える。武豊が福島に来るのは珍しいね。

 

・11ブルガアルタ
 福島に適性を示している唯一の馬。16年未勝利、織姫賞(500万)で福島芝は2戦2勝。格上挑戦だから穴になるはず。

 

・12ペイシャフェリス
 オープン以上の好走歴は、アネモネS1着、15年ニューイヤーS2着、16年朱鷺S1着、そして前走六甲Sを逃げて2着。これも穴になるはず。大注意すべき逃げ馬。

 

・13クロコスミア
 2歳時に札幌2歳SアルテミスSで3着。3歳事にローズSで2着。重馬場でこそ買うべきなのだろうが、今回のメンツであれば馬場が云々ではなく、普通に来そうではある。人気の一角になるけど逃げ馬だし外せない。
 

買い目
3連複ボックス7頭35点。
5-6-8-9-11-12-13

GOOD LUCK!!

2017 予想 第19回阪神スプリングジャンプ(J・GⅡ)+第53回金鯱賞(GⅡ)

 まずは阪神スプリングジャンプから。

 

 別定ということもあり障害重賞勝ち馬が多数参戦して中山グランドジャンプのステップでは一番面白いメンツが揃った。予想の仕方としては、3900mなので障害競走でも長距離を走っていて、好走している事をメインに考える。他に阪神の障害コースに適性を示しているならもちろんそれも考慮。
 で、一応印はつけたし、3連複を買うけど、組み合わせ馬券はあくまで遊びで。1頭の単複にどかんと入れた方が良いだろう。よって以下に買い目等を書くが、本命印は軸、対抗印を複勝1点という形で買う。オッズと相談しながら。

 

◎11オジュウチョウサン
 2016年JRA最優秀障害馬受賞、中山GJと中山大障害を制した、もはや強さに関しては説明する必要がない。そしてまた、取りこぼしがあっても3着以内は固いし、9割方連対するだろう。第一去年の中山GJから4連勝中である。こういう事から組み合わせ馬券(枠連馬連馬単、ワイド、3連複、3連単)では軸に最適。
 で、何で私が不満そうに書いているかというと、関西遠征は初めて、あくまで叩き、絶対的内枠有利の中11頭立てといっても大外には違いない事。これらから勝てずに2,3着は大いに有り得る。また、抜けた存在なので相当人気が被るはずで、単勝は1倍台だろう。単複などで1点勝負をしたい場合、今回に限ってはややリスキー。

 

◯4オースミムーン
 個人的に実質、本命馬。この馬の複勝にどかんと行くつもり。阪神障害コースの申し子。阪神には二つ障害重賞があって、阪神ジャンプS(J・GIII)3140mと今回の阪神SJ(J・GII)3900m、この馬の成績は(2.1.1.1/5)となる。馬券外になったのが昨年の阪神SJで4着。それだけ。
 前走の春麗ジャンプSでは11ヶ月休み明けの叩きとしては上出来でタイム差0.5秒の5着。そして何より鞍上は高田潤。中山GJに出るか知らんがそっちよりか、全力で買うならここ。

 

▲1サンレイデューク
 15年の当レース勝ち馬。中山大障害、中山GJでそれぞれ3着の経験があり、東京HJ(J・GII)も勝っている。また前走はだいぶ離されはしたもの中山大障害を4着。中団待機の脚質がハマれば怖い。有力である。
▲6アップトゥデイト
 2015年の最優秀障害馬。2016年シーズンはややちぐはぐで、4戦して2着3回に着外1回で勝てずに終えたが、まだ軽視できないし枯れたわけでもない。だいたい前走は中山大障害2着だ。阪神SJ(J・GII)は2回走って15年は4着、16年は2着、阪神JS(J・GIII)では2着、障害未勝利を脱したのも実は阪神と、隠れた阪神巧者である。逃げの手でどこまで踏みとどまるか。


△3タイセイドリーム
 無理して切る必要もないかなって感じで何となく残っちゃった馬。といって16年では新潟JSを勝ったし、東京HJでも3着しているように力はある。ハナにはたたずに先行する王道な脚質。距離さえこなせれば。
△9ドリームセーリング
 京都の障害重賞で買うべき馬。買い目に入れた理由は、14年阪神JSで2着している点と3930mの京都HJ(J・GII)で3着している点。アップトゥデイトにあまり絡まずに2番手で控えるならペースが落ちてそのままに、最後に3,4番手にいるオジュウチョウサンが交わすというイメージは湧く。

 

買い目
3連複1頭軸流し相手5頭の10点。
11-1,3,4,6,9

 

複勝4オースミムーン

複勝の金額はオッズが出てから。





 金鯱賞

 

 宝塚のステップから有馬のステップに移動され、今度は大阪杯のステップにされた。全然大事にされていない感が強い。中京は開幕週だし、坂ができてもなお、意外に前が残るレースになっている。中京適性を考えつつ、この時期に移って初回なので、傾向はあまりアテに出来ないから、開幕週の先行馬を積極的に評価していくという感じで。
 3連複フォーメーション1頭→3頭→8頭の15点想定。

 

◎6ヤマカツエース
 つい三ヶ月前にやった金鯱賞の勝ち馬で、素直にこの馬中心でいいでしょう。実はファルコンS3着と金鯱賞1着しか中京は走っていなくて、巧者なのかもしれない。加えて有馬記念では上がり最速を繰り出してあわや馬券内かというくらいの4着。本格化した感がある。

 

◯10サトノノブレス
 有馬記念は大敗したが中京巧者。(1.1.2.0/4)着外なし、16年の当レースと入れ替わったような3月の中日新聞杯を勝ち、金鯱賞は2着1回3着2回。馬券内食い込みは必至に思える。
▲9ステファノス
 中京は初出走だが海外の香港も含めて2000mならどこでも好走する馬。
▲12パドルウィール
 この馬が前回の金鯱賞で2番手先行してそのまま2着に流れ込んだ馬。中京の相性は良い方。1000万条件に昇級してから着外がない。前走の大敗が響いて人気を落とすならおいしい存在である。

 

△1ルージュバック
 実力は確かで、開幕週なのだから内枠は良いはずだが、ずっと後方から攻めてきたので、最内は災いすると見た。馬群捌ければ勝っておかしくはないが、どうだろうか。
△2プロディガルサン
 前走が何でマイル使ったのか知らないけれどそこで2着してきた。重賞の好走は幾度もあって、ダービーと菊花賞を除けば相手なりに走ってきた馬ではある。この馬もそうだが1枠2番で差し脚質。1枠2頭は力はあるが脚質的に合わない点が印を上げづらくしている。
△8スズカデヴィアス
 脚質転換中でつかみにくい馬だが前走は白富士Sを好位差し。なくはないけど、穴かな。逃げてくれても良いとは思うのだけどね。
△15ロードヴァンドール
 本馬は純粋な逃げ馬。オープン格に上がっていきなり小倉大賞典使って4着。メンツを見渡すとまだ人気はしないだろうし、前走もフロックではないと思っている。中京が初なのが気になるが穴にオススメ。

 

買い目
3連複フォーメーション
6-8,9,10-1,2,6,8,9,10,12,15 15点。

GOOD LUCK!!

 

2017 予想 第12回夕刊フジ賞オーシャンステークス(GⅢ)+第24回チューリップ賞(GⅢ)

 まずはオーシャンS

 チューリップ賞は荒れる気配が微塵も感ぜられないので、恐らくそれなりの配当が出るであろう、中山芝1200mのオーシャンSから行ってみよう。
 阪神競馬にも言える事なんだが、今の中山開催もまだ開幕2週目。皐月賞の時分をイメージして予想すると「は?」ってなる。実際、先週の中山記念は意外に前が頑張っちゃったという事で、私も外した。1800mと1200mじゃ全然違うはずで、古馬の重賞ともなれば差しで決め打ちしたい衝動に駆られるが、とにかく当てればデカイ配当来るぞって事で精一杯当てに行く予想にした。

 

 3連複フォーメーション2頭→7頭→7頭の25点買い。

◎2ナックビーナス
 本命対抗の区別は個人的に特にする必要がないが、こっちかな。驚くなかれ、中山芝を3戦して(1-1-1-0/3)の複勝率パーフェクト。中山芝1200mに限れば連対率100%である。重賞挑戦では、6着、5着、7着で3着以内の複勝圏なら届くのでは? と考えるなら悪くない。横ノリが降りて石川がテン乗りなんだけど、うーん、それほどマイナスではない気がする。酒井がテン乗りで、勝浦が新馬戦以来の半年ぶり騎乗で勝っているし。1枠2番に入ったので下げるなら外に出して、行くなら先団にちゃんと居ればなんとかなるんでは。私は先行勢ならこの馬が一番だと思う。
◯9メラグラーナ
 この馬はもっと凄くて中山芝1200mは2戦2勝。1番人気はこいつであろう。パフォーマンスが上がってきているが、対抗に下げた理由は重賞経験が貧弱で、京阪杯も馬場のせいと言っても14着は負けすぎた。枠的にはどうとでも乗れる。控えて追い込むも良し、もう少し前目につけて中団に構えるも良し。戸崎次第では。


▲10スノードラゴン
 古豪9歳馬。芝ダート問わないアグネスデジタルのスプリント版みたいな馬で新潟代替開催だったとはいえ14年スプリンターズS勝ち馬。特にオーシャンSでは、14年2着、16年3着。また、去年のちゃんと中山でやったスプリンターズSでも5着。前走重賞なら大敗からの巻き返しも可能。恐らく1200mしか走らなくなった、という感じだと思う。1400mや1600mの戦績は度外視で見ると買えそうな気がしてくるはず。これは差し。
▲11コスモドリーム
 美浦の馬で、かつ府中では芝短距離が1400mまでなので、1200m戦を求めて中山を中心に乗られてきた馬。着順はどうあれ終いの脚に賭けるしかない馬で完全に展開頼みなのだが、前走は強烈だったし、もう一頭追い込むしかない有力馬がいるが、こっちの方が中山に限っては信頼度ありでは。

△3ブレイブスマッシュ
 横ノリはこっちに。サウジアラビアRC勝ち馬でファルコンS2着馬。何かと騒がれる4歳馬の中の1頭で重賞戦線でそれなりに走ってきた。前走で中山でもやれる、という感覚は持ったが、初の1200mでどうか。
△4クリスマス
 函館札幌開催まで待て、が正解。ただ中山も意外に走る。先行勢。
△11バクシンテイオー
 昨年に北九州記念を勝って重賞馬に。追い込むしかないと言ったのはこの馬でハマれば突き抜けて勝っておかしくはない。ただ中山ではイマイチ。展開が味方した時に怖い1頭。

 

買い目 3連複フォーメーション
2,9―2,3,4,5,9,10,11―2,3,4,5,9,10,11 25点。

 



 さて、チューリップ賞

 どうガミらないように買うかではないか? 私はほとんど3連単は買わないけど、久しぶりに買ってみようかと迷った。やめたけど。3連複2頭軸流しと馬単かな。オーシャンSがわけわからんのでその分を取り返す気持ちくらいしか持てない。こっちで点数少なくして賭金按配してトントンには持っていこうという魂胆。

 

◎10ソウルスターリング
 もはや語るまい。
◯3リスグラシュー
 3連単を迷ってやめた理由はこの馬。確実に3着内には居るはず。そこは大丈夫だろうと思う。ただ後方から攻める馬だけに意外に伸びきれずに差し損ねて3着というのはありそうな気配がした。

 

▲1ミリッサ
 ま、血統ですね。ある程度走ってもらわないと。2戦して出した上がりの時計が素晴らしい。
△4エントリーチケット
 この馬が悪くないと思えるのは牡牝混合の中京2歳Sで2着しているから。前に行くだろうし馬場は味方しそう。
△5アロンザモナ
 こっちはちゃんと紅梅Sを勝った。まあまあの良血。脚質がまだ微妙で探っている感じで軸にはしづらい。
△6ダノンディーヴァ
 500万特別を勝ってここに臨めば少々考えたろうが3着に負けたので。繰り出した上がりの時計はアホかという数字。33.2秒。

 

買い目
3連複2頭軸流し相手4頭の4点買い。
軸3-10
相手1,4,5,6

馬単2点。
10→1,3

 

金額はオッズが出てから決める。

GOOD LUCK!!

2017 予想! 第26回アーリントンカップ(GⅢ) 02/25(土)阪神外回り1600m

 武幸四郎、ジョッキー引退ということで、そこそこやれていたジョッキーの引退というとミッキー(松永幹夫)の阪急杯ブルーショットガンが思い浮かぶのだけど、どうでしょうね。あの時は私はコスモサンビーム本命で、途中で予後って可哀想な結果になったりしたし、鮮明に覚えている。

 さてさて2017年のアーリントンカップへ。阪神中山開催の開幕週。ということで、前に行った馬が残りやすいことは言うまでもない。それは頭に入れておくべきだが今回は12頭立てで、大逃げで一杯食わされるということもなさそう。素直に実力、戦績、この辺りを見ていけばいいのではないか、と。紛れの要素があるか? と思うし大荒れはないんじゃないか。先行から中団辺りで折り合って好位差し、これが一番うまくいく気がする。

 

3連複フォーメーション想定 1頭→2頭→8頭の13点。
◎8ペルシアンナイト
 前走のシンザン記念こそ、キョウヘイの追い込みに負けての3着で、上がりも3位だったわけだけど、差は0.2秒。開幕週に限っては、道中6番手前後に位置取りする脚質がハマりそうである。4戦して馬券内を外していない堅実ぶり。鞍上デムーロも良し。初めての阪神がどうか、くらいか。

 

◯3キョウヘイ
 入れないわけにはいかないシンザン記念勝ち馬。ここでマクって突き抜けられるなら本物だと認識せざるをえない。ただこの馬、千両賞2着やシンザン記念1着は重馬場で出した着順。むろん、良馬場の小倉2歳Sで4着しているので、馬場が渋らなければ走らんという馬ではない。差し届かずも健闘して2,3着というイメージかな。
▲2ディバインコード
 打って変わって先行馬。5戦して馬券外なし。ハナにこだわる馬じゃないが、この枠だし、外目の先行馬が行かないなら行っちゃうのかな。京王杯2歳S3着、オープン特別ジュニアカップ2着と現時点での3歳馬としては優秀な戦績。むしろ関西圏で馬券に入ってくるイメージわかない鞍上が問題かもしれん。

 

△4レヴァンテライオン
 朝日杯をブービー負け。ただし腐っても中央芝重賞の勝ち馬。函館2歳S勝ちがきらめく。
△5ジョーストリクリ
 500万特別なずな賞を上がり2位で勝ち。負かしたデスティニーソングは先週500万特別を勝ち上がったので、前走のレベルは低くはない。予想される位置取りも合いそうだし、ヒモなら十分。
△7ナンヨーマーズ
 勝ち負けには厳しい感じ。9番手に下げても上がりは3位しか出せず。テン乗りとはいえ、ルメールで怖いしおさえるが。ちなみにデータとしては500万特別で3着以内なら来ないことはない、となっている。
△9ミラアイトーン
 鞍上に武幸四郎。それはいいとして、京都だから出た時計だとしても前走上がり33.8秒を繰り出してきた。2000mの葉牡丹賞が長かったとしたらマイルは丁度良さそう。
△11ヴゼットジョリー
 牡馬に敵う敵わないの議論は、新潟2歳S勝った、で終わるわけだが、やっぱりちょっと信頼したくない。それに牝馬戦線なら上位の馬なので桜の舞台が本番。ここで公開調教されても文句は言えないと思う。
△12レッドアンシェアル
 朝日杯8着を除けばもみじS勝ちの芝2勝馬。中団くらいで進めそうな点も良し。

 

買い目
3連複フォーメーション
8―2,3―2,3,4,5,7,9,11,12
の13点。

GOOD LUCK!!

 

2017 予想! 第67回ダイヤモンドステークス(GⅢ)+第52回京都牝馬ステークス(GⅢ)

 まずはダイヤモンドSから。

 東京芝3400mという、2マイル3200mでもなく(昔の天皇賞秋は3200mでした、シービーの時には今と同じ2000mになった)そこに1ハロン足して3400mというわけのわからないマラソンレースで、特殊で施行回数少ないということは、リピーターを重視しよう、とそういう頭でやっていけば的中は早いはず。府中のダ2100mもそこから入るじゃないですか。
 で、まあハンデ戦なのが難解さを増しているのだけど、過去10年で見ていくと、軸馬は1,2番人気で良いと出て来る。つまりヒモ荒れするレースということ。斤量が重くても複式馬券買う人は素直に上位人気を信頼して馬券を組んでいいだろう。御託はこのくらいで。

 

3連複フォーメーションで考える。1頭を一番目の軸に置いて、3頭を2番目においてなるべく広めで当てに行く。

 

◎12アルバート
 藤田菜七子ちゃんの48kgからこのトップハンデ58kgまで実に10kgの斤量差があるわけ。凄いね。で、まあ、ハンデ戦ってきちんとハンディキャッパーが見込んだ強い馬=背負っている馬を軸にして軽めな奴らをヒモに入れるスタイルで良いと私は思っている。アホか!?っていうくらいクソ荒れのレースなんて全通り買い決め打ちでもしないと当てられん。

 鞍上ムーア人気している感否めないし、中山長距離がお庭でしょって私も思う。ただ去年のアルゼンチン共和国杯を意外にも2着したし、条件戦時代も見れば府中を苦にしてはいない。いつアツメに買うのかって言ったら、使うか知らんけど日経賞だと私は思いますよ。やっぱ中山専用機的な見方が私にも強いし。たださきほどアルゼンチン共和国杯の連対が意外だったという辺りに注目してほしいのだが、府中芝2500m戦で上がり2位の33.6秒を記録している。勝つか? って言ったら私は責任持てないけど3着内にいるのか? って言われたら9割方いるんじゃないと思う。
◯1ファタモルガーナ
 蛯名騎乗で騙馬9歳。長距離戦においては、馬齢はさほど関係ない。この馬はステイヤーズSを4回走って3回連対する生粋のステイヤー。当レースダイヤモンドSでは2着1回3着1回着外1回で、そこに目黒記念3着(2015年)などを入れると、アルバートがもしも中山専用機だった場合、この馬の方が府中適性あるんじゃないかと3分ばかし真剣に悩んだ。が、上位人気サイドからヒモ荒れ、ということを頭に入れて対抗に。ここで勝ち負けして、春の天皇賞では用無しパターンだと思うし、厩舎側もそういうつもりなら勝っちゃうかも。府中や新潟を集中的に使っている辺りサウスポーめいた感じがする。
 最内1枠1番が気になるところ。長距離なんだし、インに拘らず、直線向く頃には外目を走ってほしいが。蛯名に任せるしかない。

 

▲4ラブラドライト
 この馬もちんこ取っちゃって去勢した騙馬8歳馬なのだけど斤量51kg。これはかなり恵まれたはず。前走は当レースに相性の良いオープン特別京都3000mの万葉Sを2着。しかも上がり最速と来たもんだ。14年にダイヤモンドSに挑戦していて4着。中穴っぽい評価だが、かなり押していきたい馬。
★7フェイムゲーム
 こちらも騙馬で7歳、斤量はトップハンデと並ぶ58kg。そう見込まれたのも無理はない。実際、府中3400mのダイヤモンドSを3回走って2勝2着1回で、馬券に絡まなかった事が一度もない。得意条件なのだろう。JC17着を見ると大舞台で期待は酷であるかとは思うが、この舞台ならばまだまだ好走しておかしかないはず。

 

△8カフジプリンス
 まさに連下評価でふさわしいというヤツではないか。明け四歳の54kgだし川田もしっかり乗ってきそうなイメージがある。といってもクラシック参加組の4歳馬がみんな強いかと言ったらそうでもないわけだし、人気しすぎな感を覚えてしまうが適性は中長距離。ひょっこり3着辺りを期待して。
△10サムソンズプライド
 スタミナ戦なら前行って粘り込みもまた王道でしょう、の逃げ馬で買いたいと思うのはこの馬。斤量54kgと軽めだし、鞍上田辺だし、前走白富士S(府中芝2000m)で逃げて4着してきた。前走オープン特別で掲示板内ならおさえる妙味あり。今の所、長距離重賞では掲示板になかなか届かないという感じだが、意外と逃げ粘って穴あけるかも。
△11プレストウィック
 この馬に関してはたった一つだけ。前走ステイヤーズSを上がり3位にまとめて4着。人気馬じゃない戸崎というのも買いたくなるじゃないか。それだけですな。穴に一考。

 

買い目
3連複フォーメーション
12→1,4,7→1,4,7,8,10,11の12点。
ワイド1点 1-12

もうちょっと時間過ぎてから賭金考える。


京都牝馬ステークス

 

当たる気がしない。そもそも京都マイル戦だった頃ならまだしも1400mとかなんでやって思うので。当たったらラッキー程度で短評で。

 

3連複フォーメーション 1頭目1頭、2頭目3頭、あと7頭。
◎10レッツゴードンキ
 脚質自在の桜花賞馬。芝ダ関係なく好走。1400mならお手の物?


◯2アットザシーサイド
 実績上位も重賞未勝利馬。勝ち味に遅いし安定性も微妙で軸では見送り、あくまでヒモの最右翼。
▲4アルビアーノ
 休み明けの分割り引いたが、NHKマイル2着、宮記念3着、15年同舞台京都1400スワンS勝ちは侮れない。対抗に上げてもいいくらい、この舞台なら強いはず。鞍上ルメール
▲6スナッチマインド
 京都の1400まで、あるいは1600までなら得意な馬。前年の1400m変更後の4着馬。どしんとシンガリ近くに下げれば確実な末脚を発揮してきた馬。展開次第、作戦次第だがハマれば突き抜けて驚けない。

 

△1トータルヒート
 前走淀短距離Sで上がり最速33.5という数字だけで買った。
△3ベルルミエール
 これは言葉を尽くしたいなと思ったくらいオススメ。不当なほど人気を落としている。去年の夏から意外にも堅実で、5着前後で安定している。実際ニュージーランドTで3着、北九州記念で3着がある。特に前走は1200mだけど、上がり最速を使って5着。混合戦から牝馬戦に移るのだから3着内も当然意識できるではないか。
△13ナックビーナス
 まあヒモでなら買えるよね、という馬。重賞挑戦はクイーンCとキーランドC。5着と6着という結果で悪くはない。古馬牝馬限定のこの舞台なら馬券内も?
△18ウインファビラス
 かつての2015年シーズンに新潟2歳Sで2着、そして阪神JFで2着。この馬にはやられたーというイメージが個人的に色濃い。さてそんな中、秋華賞を惨敗したあとターコイズSからニューイヤーSに転じて3着してきた。2歳で魅せたその能力、再び戻ってきていてもおかしくないのでは?

 

買い目
3連複フォーメーション
10→2,4,6→1,2,3,4,6,13,18 15点

 

GOOD LUCK!!
イエイ!

2017 第52回デイリー杯クイーンカップ(GⅢ)予想

 JRA公式の馬場情報では2/9の天候不順の際、4.0mmのみぞれで雨量を計測しているが芝ダートともに良馬場発表。乾燥する季節でもあるし、さほど問題視しなくてよいだろう。

 で、クイーンCだが、前に行く馬がかなり多い。もちろん世代限定戦なので抜けた強さを持っていれば前目に行ってしぶとく残せるだろうが、単純に競馬のセオリーを考えると差し勢優勢だろう。こう考えていくと、たぶん今年もクイーンCは固いか小波乱程度ではあるまいか。
 それとクイーンCに出られるのは抽選も含めて最低でも1勝していなければならない。500万で凡走している馬の場合、壁が見えてしまっているので成長していないと厳しい。逆に実力未知である新馬戦1戦1勝馬をどこまでおさえるか、それが意外と鍵になる。

 

 3連複2頭軸を想定。
◎6フローレスマジック
 2頭軸にするので本命対抗と分ける必要は個人的にはないんだけど、あえて印を区別するとこっち。同配合全兄全姉にラキシスサトノアラジンがいる良血。府中のマイルを2回使って連対外さず。アルテミスSで半馬身差負けた相手はリスグラシューで阪神JFを2着。末脚抜群であり、枠もほぼ真ん中なので十分勝ち負け。戸崎を乗せてきたとはいえ、テン乗りでどうか、くらいではないか。
◯15アドマイヤミヤビ
 前走が500万の百日草特別だが負かした相手がカデナでラジニケ杯京都2歳S勝ち馬なので、強いだろう。府中の2000mを勝ったわけで、距離延長組より短縮組が良い、というのはマイル戦の一つのポイントである。本命馬に負けない末脚を持っておりこちらも勝ち負け。外枠だが直線勝負するだろうからさほど心配はいらない。で、こっちはルメールで継続だが本番の桜花賞ルメールは違う馬に乗る。それがどうでるか。

 

上記2頭が抜けている、と判断。2頭軸にしたからにはヒモが抜けると非常に悲しいので多めにチョイスした。

 

▲8レーヌミノル
 先行馬の中では一番だと思う。重賞3戦して複勝率100%。ただ1200mの小倉2歳Sで1着、1400mの京王杯2歳Sで2着、1600mの阪神JFで3着。面白いように距離が伸びるごとに着順を落としている。マイルが精一杯と映ってしまう。
▲12モリトシラユリ
 この馬は単純に前走重賞のフェアリーSで上がり最速を使って3着に食い込んだのを評価した。未勝利脱出がダート戦だったので、それが原因で人気しないなら美味しい存在である。

△1トーホウアイレス
 アルテミスSであまりに走らなくて12着に大敗。ただしそこだけ目をつむれば、出走馬を見渡すとサフラン賞勝ちの芝2勝馬であるという点は大きい。差し脚質だしおさえる。
△3ハナレイムーン
 新馬の内容が強かった。府中で33.7秒の脚を使えたので、その脚がまた使えるならば複勝圏ありうる。
△4コマノレジーナ
 こっちも新馬戦勝ちで、相手がどうであろうと上がり最速で3馬身離して楽勝した点は3番と変わらない。3,4のどちらにも言える事だが馬体重410kg台が心配。
△7ディヴァインハイツ
 これも新馬戦勝ちなのだけど1と1/4馬身離したのでなくはない。道中じっくり構えれば。
△11アエロリット
 鞍上が鞍上なだけに今回も先行するか素直に信じきれなかったし、実際フェアリーSで2着する実力はあるので入れた。来るかどうかは鞍上の作戦如何。
△13スズカゼ
 前走菜の花賞で2勝馬になれた点は大きい。重賞で全く勝負になっていないし、先行したら結果出たというやや嫌いたい馬なのだが、穴に一考で。

 

買い目
3連複2頭軸相手8頭の8点買い。
軸6-15
相手1,3,4,7,8,11,12,13

 

ワイド6-15の1点買い。

 

上記2つの券種の賭金をどうするかはオッズが出てから決めようと思う。
GOOD LUCK!

 

2017 「ライ麦畑でつかまえて」(野崎版)の感想とスタイル

(1)感想など 

読書メーターに書いたものだとこう。何というか255文字で感想書けと言われると無理な小説なので、こんな風にしてお茶を濁した。

 

実に11年ぶりの再読である。18歳の私は怒ったのだ。だってホールデン、君は私が言わずにおいた事をのべつ幕なしに喋って聞かせるんだ、腹を立てて当然じゃないか? でも今は違う。相対化と客観視、つまりこれもインチキだな。要するにだ、あの時君は柵の上に座っていたから私は文句を言いに登って君の隣に腰掛けた。いつの間にか私は柵から降りていたってわけだ。見上げると今でも次から次へ君に何か言いたい奴らが押しかけているじゃないか。君は不機嫌そうだが退屈しないだろ、年もとらないしな。寂しくなったのは私の方さ。参ったね、全く。

 

 本題の前に、四方山話でも。

 読書中、脳内のBGMはイーグルスデスペラードだった。以下はlive版ではなく原曲。


The Eagles- DESPERADO-HD

 柵の上がどうこう、なんて本文に無関係な語を持ち出してレビューを書いたのはデスペラードの歌詞があったからだ。

 歌詞の最終連はこうある。

Desperado, why don't you come to your senses?
Come down from your fences; open the gate
It may be rainin', but there's a rainbow above you
You better let somebody love you, before it's too late

 適当に訳すと

デスペラード(ならず者)、何で分からないんだ?

柵(フェンス)の上から降りてこいよ、門(ゲート)を開けるんだ

雨降りの日もあるさ、けれどお前の上に虹がかかるかもしれないじゃないか

誰かに愛してもらわなきゃいけないよ、手遅れになる前にさ

 

 こんな感じで、目の前にたくさん良い物が転がっているのに手を出そうとしないし、柵の上に座り込んでいる。いつまでそうしているつもりだ、もう良い歳だろうに。そろそろ柵から降りて地に足の着いた事をやるべきだ。手遅れになるぞ。

 と、全体を要約するとこうなって、つまり私の解釈だとこうなる。

 あの頃の夢だけでは生きていけないし、それを追い続けて人生がパーになったらまずいじゃないか、そりゃ確かに夢を諦めるのは哀しい事だけど、良い事だってあるんだ、さあ、孤高を気取ってないで俺達の所へ降りてこい、心を開くんだよ。

 夢追い人に現実的な生き方をするよう忠告する、おセンチなスローバラードだと思っている。

 

 この解釈のままずっと過ごしてきたわけだけど、このデスペラードの歌詞、深読みするとベトナム戦争時のアメリカを皮肉ったものだ、とか失恋した男(女)への慰めだとか、なかなか多様な解釈があった。むしろ私の解釈に似たものを見つけるのが苦労したくらいだ。

 同じように多様な解釈ができるものに、イーグルスの恐らく最大のヒット曲であるホテル・カリフォルニアがあるだろう。歌詞にコリタスの匂いがするとか、1969年のワインしか置いていないとか、チェックアウトはいつでもできるけどホテルからは出られんぞ、なんて暗喩的な歌詞が魅力的。ベストアルバムの解説では当時のアメリカロック界の、麻薬等々薬物汚染を指摘している、みたいにやっつけてあったが、別の解釈も可能だろう。

 

 脱線しすぎて横転しそうなのでライ麦に話を戻すと、ホールデンは柵の上にいて(いつまでも半分子供半分大人の鋭敏で感傷的な、純粋な存在でいられる)、いっぱい傷つく事もあるだろうけど、でもそれはとても羨ましいね、という事を言いたかった。

 18歳の初読の時に怒りを覚えたというのは本当で、16歳のホールデンは、大人になりたい気持ちも実はあるから、煙草を吸ったり酒を飲んだりする、背伸びをするわけだ。おまけに高校を放校されるし。

 この設定、当時の私とピッタリと符合する。ホールデンは競馬こそしないけどね。私は県内2番手の高校に入ったけど見事に堕落して結局高校3年の晩春に休学を申し出た。事実上の中退、居続けてもダブるのは確実だから。高校のダブりと大学のダブりは全然違うでしょ? 私はどうしたかというと、単位選択自由な通信制高校に編入して何とか留年をせずに3年間で高卒になれた。代わりに大学受験の勉強をする余裕がなく、形式上浪人生をやるハメになった。まあその後マーチの文学部に受かるわけだけど。

 そんな時にこのライ麦を読むと、共感以上にまるで自分の分身がニューヨークを彷徨しながら愚痴をぺちゃくちゃ喋っているように思えて、土足で心の中に入られたような気がしたのだった。ホールデンのような大人の憎み方はしていなかったけれど、偽善欺瞞はうんざりだ、とは感じていた。大凡の人達の十代後半の心模様はこんなものだろう。だから今でも売れているわけだが。

 

 で、ライ麦は26章立てで出来ている。最後の26章はわずか2ページしかない。そこでホールデンは病院に入院している(村上春樹訳では〈病院〉という単語は使われていないらしい)。精神分析家がうようよしている病院に。この入院しているホールデンが、回想する体で小説が成立している。

 ホールデンは、今までの話の中に出てきた奴ら(固有名を持ち生身を持ってホールデンに接触した全ての人物)がここには誰もいない、と締めくくり懐かしい、と語って終わる。

 単純に解釈すれば、そりゃ病院の中に高校の同級生たちはいないだろう。ただ、ひっかかる部分が多すぎる。まずホールデンが入院しているのは十中八九精神病院か、総合病院の精神科病棟だろう。作中で肺炎になるかもしれない、癌になるかもしれない、と怯える場面はあるのだが、あれは冗談のような感じだったし、ペンシーの高校の寄宿舎で殴り合いの喧嘩をするが、鼻血が出たくらいだ。入院レベルの身体的な故障はない。おまけに情緒不安定なのは、サリンジャーの書き物という時点で知れている。

 そう、このニューヨーク三日間の彷徨は虚構の魂の彷徨であり、全て作り話、フィクション、ホールデンの妄想だと解釈できてしまう。

 この最後のどんでん返しを、ありきたりだ、と言うのは容易いし実際私もそう思うのだけど、上記の入院している等々はサリンジャーがたった2ページなのに、わざわざ書き足した事だ。余分な深読みを嫌ううるさい作家として定評あるサリンジャーだからこそ、この最後26章は重視せざるをえないのだ。

 これは印象論に毛が生えた程度の解釈でもすぐ思い浮かぶ事だから、きっと英米文学の研究でサリンジャーの作家論、テクスト論、その中にこの解釈の如何はかなり言及されているだろう。暇があったら知りたいし、読みたい。

 21世紀になって15年以上も経った。現在の文学研究においては、作家論、つまり書いた作者の気持ちを類推するみたいなやり方は、もはや駆逐されている。せいぜい高校生の現代文までだろう。テクスト論、バルトが提唱した〈作者の死〉から、書いた人間を空欄にしてしまって、眼前にあるテクスト(本文)をそのまま解釈しよう、そういう態勢に入ってとても長い。どういうテクスト論が展開しているのだろうか。

 

(2)スタイル、フォルム(形式)

 さてもう一つ。スタイル、フォルムの問題。

 ホールデンの饒舌な独白体で本書は形成されている。驚嘆すべきお喋りなのだが、このスタイルがとても読みにくいという感想がかなりあった。実際、私も読み難かったし、時間もかかった。何故か? これは黙って眼玉で字面を追って読むべきものではないからだ。

 物語、という単語を漢文調にカタカナを補ってみると〈物ヲ語ル〉となる。レ点をつけて〈語ラレタ物〉としても良いが、物語とは〈語る〉行為である。

 ソシュールジャック・デリダとか、パロールエクリチュールとか、そっちに踏み込むとややこしくなるので控えるが、言葉というのはまず音声として先にあった。後から文字として表記するようになった。識字率が急激に上昇するのは近代なので、それまでは、話を知っている人間が喋って聞かしたはずなのだ。

 だいたい、我々が慣れてしまった一人称体の小説って、よくよく考えてみると何か書き方が変ではないか? 例文などを用意して解説しようかと思ったけど面倒くさくなってきたので割愛。

 とりあえずだ、文字、言葉というからには声に出して読めるわけだ。実際、今は詩のボクシングみたいに詩か短歌俳句しか詠み上げないけど、実は文学賞の授賞式でも、受賞の記念として作者が小説を読み上げる、なんて事もあった。短篇に限るとは思うが。

 その時に一番違和感がありそうなのが会話文の連続。「」で囲って、間に、と私は言った、などを含まず会話文の連続の場面がある。それを声に出して読み上げてみると、おかしいぞ、と気づくはずだ。何だか演劇のシナリオ、ト書きを読んでいるような感覚になると思う。

 これは私の根拠のない考えだが、文字が発明されて以来、ほとんどは三人称だったのではないか、と思う。神話や、宗教の聖典、聖書とかそういうものだが、みんな三人称だと思う。例外ってあるんかな? 神様ナリキリをしないと一人称にならないはずだが。まいいや。

 この会話の連続などといった一人称でおかしく感じるものは、三人称だとおかしく聞こえない。まず散文は三人称が基本にあって、そこから無理やり一人称を編み出したのではないか。結果、書き言葉専門的な書かれ方がなされ、次第に受容されたために、ヘンテコな一人称体小説がまかり通っている可能性がある。

 一人称体小説の〈私〉の発展は、近代文学の〈私=近代的自我〉の発見と探求、みたいな事を書かれる事が多いが、おかしいものはおかしいのだ。カッコつけるな。

 

 つまり音声として声に出して読み上げた時に、不自然、違和感を覚えない書かれ方をした饒舌で独白体な本書ライ麦畑でつかまえては、理想的かつ正当な一人称体ではないか? 

 こういう事も考えながら読むと、不朽の名作ライ麦畑でつかまえてを、より楽しく読めるのではないだろうか。